News Letter No.39 (2016年12月10日理事会及び総会報告)
法科大学院協会事務局
法科大学院協会の理事会が、2016 年 12 月 10 日(土)12 時 00 分より、名古屋大学東山キャンパス 法・経共用館法学部第一会議室で、また、総会が、同日 14 時 00 分より、名古屋大学東山キャンパス 法・経共用館第一講義室で開催されました。開催に当たり会場の提供・準備にご尽力くださいました、尾島茂樹教授をはじめとする名古屋大学関係者の皆様に厚く感謝申し上げます。
以下、総会で報告・意見交換がされた事項を中心に、概要をご報告申し上げます。
総会では、議事に先立ち、浅野敦行文部科学省高等教育局専門教育課長から、近時の法科大学院に関わる検討課題として、①入学定員の推移、②公的支援見直し強化・加算プログラム、③共通到達度確認試験(仮称)、④統一適性試験、⑤時間的経済的負担軽減、⑥司法試験予備試験、⑦司法試験合格率、⑧法科大学院と法学部の関係の在り方、⑨専門職大学院を含む大学院制度全体の在り方などについての説明がありました。
続いて、丸山嘉代法務省大臣官房人事課試験管理官から、平成 27 年司法試験の問題漏洩事案とその対応策に関し、①法務省ワーキングチームの提言、②司法試験委員会の決定、③考査委員の遵守事項、④考査委員の推薦体制などについて説明がされるとともに、いわゆる再発防止策について、より多くの法科大学院で策定の検討をお願いしたい旨が述べられました。
また、鎌田薫理事長(早稲田大学)から挨拶があり、司法試験の出題への法科大学院の関わり方について一応の形が整った一方で、法科大学院入学者数の減少、司法試験合格者数の減少、予備試験合格者数の増加といった懸案がある中、司法制度改革の理念に基づき法科大学院が法曹養成の中核を担うべきであるという観点から、より一層の教育の充実を図るとともに、法科大学院ならではの魅力を伝えることで、法科大学院志願者を増加させ、ひいては日本の司法を支えていく使命をよりよく果たすべく、議論を尽くして頂きたい旨が述べられました。
1 準会員校の退会について
大貫裕之専務理事(中央大学)より、立正大学からの 2017 年 3 月 31 日付での退会の申し出を理事会で承認した旨、報告がありました。
2 今年度のキャラバン企画実施報告および志願者増加に向けた取組に関するアンケート結果について
大貫専務理事から、今年度のキャラバン企画「ロースクールへ行こう!!2016☆列島縦断☆ロースクール説明会&懇談会」の実施状況について報告があり、共催者(日本弁護士連合会)、後援者(文部科学省・最高裁判所・法務省・適性試験管理委員会)の協力に対して謝辞が述べられました。
また、大貫専務理事から、各法科大学院で行われている志願者増加に向けた取組についてアンケートを実施した旨の報告があり、各校の協力に対して謝辞が述べられるとともに、各校において、法学部生向けゼミ・授業の実施、法科大学院授業の体験受講、高校での説明会の開催、中高生向け法教育プログラムの実施など、様々な取組が行われていることが紹介されました。
3 . 教員研修等検討委員会―司法研修所における教員研修および主任の交代について
山田八千子教員研修等検討委員会主任(中央大学)の代理として、大貫専務理事から、平成 28 年度教員研修を、刑事は 9 月 2 日、民事は 9 月 7 日に、いずれも司法研修所において実施したことが報告されました(なお、教員研修の報告は、協会ウェブサイトに掲載済みです。)。
また、大貫専務理事から、本委員会の主任を山田現主任から佐藤隆之新主任(慶應義塾大学)に交代することが理事会で承認された旨、報告がありました。
4 司法試験等検討委員会―司法試験アンケートの実施について
髙橋直哉司法試験等検討委員会主任(中央大学)から、平成 28 年司法試験に関するアンケート調査について、関係各校にアンケートへの回答を依頼中であり、今回は出題趣旨等も踏まえた回答が可能であること、司法試験考査委員の体制の変更に関する意見記載欄も設けたことが報告されました(なお、本アンケートの結果は、協会ウェブサイトに掲載予定です)。
次に、髙橋主任から、先般、法務省より、①翌年の司法試験問題作成に反映させることができる形でのアンケートの実施、②司法試験検証担当考査委員と法科大学院教員との意見交換の場の設置について提案があり、これに対して理事会では、①については、問題作成に反映させるのに必要なアンケート実施時期を確認した上で、その時期までの出題趣旨および採点実感の公表を法務省に要請することを、また②については、人的資源の制約にも留意しつつ、司法試験等検討委員会委員をはじめとして可能な限りで協力することを、それぞれ決定した旨、報告がありました。
5 入学者選抜・適性試験等検討委員会―法科大学院全国統一適性試験の実施報告および2017 年以降の実施について
藤本亮入学者選抜・適性試験等検討委員会主任(名古屋大学)から、2016 年法科大学院全国統一適性試験が無事終了したこと、受験者数は昨年度より 307 名減少したこと等が報告され、会場提供校に対して謝辞が述べられました。また、2017 年適性試験は 6 月 4 日および 6 月 18 日に 14 地区で各 2 回ずつ(ただし熊本会場は 6 月 4 日のみ)実施されること等の報告がありました。
次に、藤本主任から、2018 年以降の適性試験の在り方に関し、中教審法科大学院特別委員会において、「統一適性試験の在り方について(提言)」が公表され、適性試験利用の任意化が提案されるとともに、「法科大学院法学未修者等選抜ガイドライン(仮称)(骨子案)」が提出され、また、既修者も含めた入学者選抜の客観性担保のための方策が提示されたこと、これを受けて適性試験管理委員会では検討を継続中であることなどについて説明がありました。
藤本主任からは、エビデンスに基づいた入学者選抜の改革を進めるために、上記のガイドライン(骨子案)も参照しつつ、各会員校では適性試験のみならず入学者選抜制度全体についての検証を進めて頂きたい旨の要請がありました。
6 修了生職域委員会―第 4 回就職動向調査の進捗等について
浜辺陽一郎修了生職域委員会主任(青山学院大学)から、第 4 回就職動向調査の結果について報告がありました(なお、本調査の結果は、協会ウェブサイトに掲載済みです。)。また、経営法友会とのエクスターンシップ支援・促進プログラムの積極的な活用をお願いしたい旨、および協会作成の企業向けパンフレット・自治体向けパンフレットの改訂版が協会ウェブサイトに掲載されているので活用していただきたい旨が述べられました。
7 臨床系教育等検討委員会―主任・委員の交代について
大貫専務理事から、本委員会の主任を佐久間修現主任(大阪大学)から宮川成雄新主任(早稲田大学)に交代することが理事会で承認された旨、および委員も全員交代する予定である旨、報告がありました。
8 来年度のキャラバン企画の実施について
大貫専務理事から、今年度で 3 年目となるキャラバン企画について、法科大学院志願者の減少傾向に鑑みれば協会として志願者増加のための取組を継続する必要があること、過去 3 年のノウハウの蓄積を活用し続けるのが有用であること等の説明があり、2017 年度もキャラバン企画を実施する旨の提案が、総会において異議なく承認されました。なお、協会の財政状況に鑑み、予算が縮小される可能性があることが述べられました。
9 理事選考委員会の設置について
大貫専務理事から、規約 13 条に基づき、鎌田理事長のほか、以下の 6 名の選考委員からなる理事選考委員会を設置することが提案され、総会において異議なく承認されました。
野澤正充(立教大学)、村上裕章(九州大学)、森山浩江(大阪市大)、山本敬三(京都大学)、山本哲生(北海道大学)、和田真一(立命館大学) (敬称略)
10 司法試験問題漏えいに関する協会の対応等について
大貫専務理事から、前回総会での議論等を踏まえ、2016 年 6 月 21 日付で「司法試験問題漏えい再発防止策について」(以下、「協会再発防止策」)を協会としてとりまとめ、会員校に送付の上、各大学での再発防止策の策定をお願いしたところ、14 校から再発防止策が協会事務局宛に提出されたことについて報告があり、関係各位に対して謝辞が述べられるとともに、他の会員校においても再発防止策の策定をお願いしたい旨の要請がありました。また、上記の協会再発防止策の公表の後、法務省ワーキングチームの提言(10 月 5日)、司法試験委員会の決定(11 月 2 日)を経て、12 月 5 日の司法試験委員会において10 名の法科大学院教員が司法試験考査委員として推薦されたことが報告されました。
次に、大貫専務理事から、上記の協会再発防止策を受けて、協会に司法試験考査委員の不適切行為に関する苦情通報窓口を設置し、専用のメールアドレスを設けることが提案され、総会において異議なく承認されました(なお、この件については協会ウェブサイトで公表済みです。)。
11 その他
松下事務局長から、資料に基づき、前回総会以降の活動について説明がありました。主な内容は以下の通りです。
①「司法試験問題漏えい再発防止策について」とりまとめ(2016 年 6 月 21 日)
②日弁連と法科大学院協会との意見交換会(2016 年 6 月 8 日、8 月 1 日、9 月 27 日、12月 5 日)
③司法研修所と法科大学院協会との意見交換会(2016 年 6 月 16 日、10 月 25 日)
最後に、大貫専務理事より、次回総会は 2017 年 6 月 3 日(土)に東京にて開催する予定であり、会場・時刻を含めた詳細は追ってご案内する旨の報告がありました。