News Letter No.46 (2019年12月21日理事会及び総会報告)
法科大学院協会事務局
法科大学院協会の理事会が、2019年12月21日(土)正午より、同志社大学今出川校地室町キャンパス寒梅館2階KMB202教室で、また、総会が、同日午後2時より同館2階KMB203教室で開催されました。開催に当たり会場の提供・準備にご尽力くださいました、大中有信法科大学院長をはじめとする同志社大学関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
以下、総会で審議・報告された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。
総会では、議事に先立ち、西川由香文部科学省高等教育局専門教育課専門職大学院室長から挨拶と、①10月31日付け「法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律第6条第2項に基づき締結した大学間協定の認定について(通知)」の発出、②法曹養成連携協定の大臣認定の申請状況と認定時期、③新制度によるLS生の在学中受験と修了後1年目を合わせた司法試験合格率7割以上を目指すこと、④法曹コース・「3+2」に関するパンフレット(高校生向け)の発行及びウェブサイトの作成、⑤1月12日実施予定の共通到達度確認試験等に関して説明がありました。
また、大貫裕之理事長(中央大学)から挨拶があり、「連携法の改正法成立後、各会員校は法曹コース設置へ向けて準備を進め、連携協定の大臣認可申請が行われているところである。法科大学院創設期を振り返ると、新制度でしっかりした成果をあげるためには、規模感としては、当初はある程度固いところからスタートすることもやむを得ない。他方、司法試験委員会の下に幹事会が設置され、現在司法試験の実施時期について検討中であるが、司法試験の内容についても検討することが必要である。司法試験委員会の下に置かれている検証担当考査委員会において内容の検討は続けられているが、LS協会、LS教員も力を貸す必要がある。12月7日日弁連主催の司法試験シンポジウムにおいて、憲法・民法・刑法の論述問題の具体的改善提案がなされ、検証担当考査委員との意見交換の場でも披露された。着実に対話のルートができている。皆様と力を合わせて事に当たりたい。」旨が述べられました。
1 人事に関する件
松下淳一専務理事(東京大学)から、法科大学院代表者の交代に伴い、規約13条4項により、以下の理事の交代があった旨報告がありました。
- 塩見淳理事→笠井正俊理事(京都大学)
続いて、松下専務理事から、以下の常務理事の交代につき、理事会により承認された旨報告がありました。
- 笠井正俊常務理事(京都大学)→ 土井真一常務理事(京都大学)
また、松下専務理事から、以下の常務委員が交代した旨報告がありました。
- 角松生史(神戸大学)→ 八田卓也(神戸大学)
2 今年度のロースクールキャラバン企画実施報告について
松下専務理事から、「先の令和元年6月の総会において、本年度についても、キャラバン企画費に昨年同様270万円を計上することをご承認頂いた。既に東京、東北、阪神、京都、九州地区のキャラバンが実施済みである(本日(12月21日)の広島地区のほか今後3地区で実施予定)。東京会場については、前回、前々回同様、全国の法科大学院に参加を呼びかけたところ、関東地区以外の大学も二部にブースを出展して頂き、その成果もあってか、前年とほぼ同規模の約200名の参加者を得た。また、他の地区においても、軒並み参加者が前年を上回っており、担当校のご尽力に心より感謝申し上げると同時に、昨今の法曹養成制度改革により、法曹を進路の1つの選択肢として考える人が増えているのではないかと考えている。」旨の説明がありました。
3 来年度のキャラバン企画の実施について
松下専務理事から、次の通り提案があり、原案通り承認されました。
- 一会場当たりの予算を20万円までに変更した上、来年度も今年度と同様の会場数でキャラバンを実施することを提案する。
- 提案理由:前回の6月の理事会・総会で報告した通り、協会の財政状況は極めて厳しい状況にあるところ、今年度も、昨年度に引き続き定期預金から200万円をキャラバン企画費に充てることを承認いただいており、来年度も同規模で実施するためには、同様の措置が必要と見込まれる。本年6月に法曹養成制度改革関連法案も成立し、いわゆる「3+2」などの制度が新たに始まることに鑑みると、高校生など若い層へのアプローチは非常に大きな意義があり、少なくとも来年度については、一会場当たりの予算を30万円から20万円に減額しつつ、更に定期預金を用いてでも、全国的にキャラバンを継続したい。
4 教員研修等検討委員会報告「司法研修所における教員研修について」
佐藤隆之教員研修等検討委員会主任(慶應義塾大学)が欠席のため、松下専務理事が次の通り報告を代読しました。
- 令和元年度教員研修を、刑事系教員研修については令和元年(2019年)8月29日、民事系教員研修については同年9月6日に、いずれも司法研修所において実施し、第71期 A班の集合修習を見学した上で、法科大学院教員と司法研修所教官の意見交換を行った。
5 司法試験等検討委員会報告「司法試験アンケートについて」
髙橋直哉司法試験等検討委員会主任(中央大学)から、次の通り報告がありました。
- 例年と同様、会員校を対象に司法試験のアンケートを実施し、報告書を12月11日に協会ウェブサイトに掲載した(https://www.lskyokai.jp/wp/rp_191211/)。アンケートの結果は、日弁連のシンポジウム(12月7日)及び法務省での司法試験検証担当考査委員会の場でも紹介した。
- 前回よりも回答率が若干低下したが、アンケートの価値・信頼性を維持するため、引き続き会員校のご協力を賜りたい。
6 入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会報告「共通到達度確認試験の実施について」
藤本亮入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会主任(名古屋大学)から、次の通り報告がありました。
- 2020年1月12日の第1回共通到達度確認試験の実施に向けて準備にご協力いただいた会員校及び関係者に御礼を申し上げる。
- 第1回共通到達度確認試験は法科大学院生のみを対象としているが、いわゆる「3+2」との関係で、2021年度以降実施の共通到達度確認試験における法科大学院進学予定者の受験の可否・範囲(入学予定者に限定するか、法曹コース在学生全員に認めるか等)につき検討している。
7 修了生職域委員会報告「修了生の職域拡大のための取り組みについて」
阿部博友修了生職域委員会主任(一橋大学)が欠席のため、松下専務理事が次の通り報告を代読しました。
- 第7回就職動向調査の結果をまとめた。報告書は協会ウェブサイトに掲載する。
- 就職動向調査の委託先である株式会社ジュリスティックスより、調査の中止等を含めた検討の依頼があり、本委員会を中心に対応を協議している。
- 大阪商工会議所主催の就職情報交換会(11月5日)に参加し、10の企業から法科大学院修了生の採用を検討しているとの情報提供を受けた。これらの情報は、本委員会から各大学の就職支援課に提供する。
8 臨床系教育等検討委員会報告「シンポジウム記録の公表方法等について」
宮川成雄臨床系教育等検討委員会主任(早稲田大学)から、次の通り報告がありました。
- 2018年6月9日に実施した協会シンポジウムの内容につき、科研費臨床法学グループの協力を得て活字化し、協会ウェブサイト及び早稲田大学臨床法学教育研究所の『臨床法学セミナー』に掲載するための作業を継続している。
- 法科大学院在学中の司法試験受験を可能とする制度の下での臨床法学教育のあり方について、各法科大学院の取り組みを調査する予定である。
9 規約11条(準会員)改正の件
松下専務理事から、次の通り提案があり、原案通り承認されました。
- 規約11条1項前段に「法科大学院の設置を予定する法人」とあるのを、「法科大学院の設置を予定する法人および連携法曹基礎課程を設置し又は設置を予定する法人」に変更する(なお、併せて、同項後段を同条2項とし、以下、項数を繰り下げる)ことを提案する。
- 提案理由:法科大学院を設置していないが連携法曹基礎課程(法曹コース)を設置し又は設置する予定である大学も、法曹養成制度の利害関係者であり、それらの大学とも法曹養成制度全体の在り方等について意見交換及び情報共有を行う必要があるので、本条の準会員として協会に所属することを可能にしたい。
- なお、附則4条の類推により、法曹コース設置法人が既に法科大学院を設置しており正会員である場合であっても、法学部として準会員となることを希望する場合には、これを妨げないものと考える。その場合、会費支払い及びメーリングリストへの登録は、正会員及び準会員それぞれにつき行うことになる。
10 会費の値上げの件
松下専務理事から、次の通り提案があり、原案通り承認されました。
- 会費等細則2条各号を改正し、2021年度以降、大規模校(1学年の定員が60名を超える会員)は20万円、小規模校(同じく60名以下の会員)は10万円とすることを提案する。
- 提案理由:2011年度には、総会員校数は74校(うち大規模校は22校)、会費収入は480万円であったが、2019年度は、総会員校数は47校(うち大規模校は10校)、会費収入は285万円まで減少した。現時点での募集継続校は35校であり、今後さらに会費収入が減少する見込みである。来年度以降、キャラバンの予算縮小や委員会活動等の合理化により予算の緊縮を図るとしても、現在の会費収入では、協会としての最低限の運営、活動も賄うのは厳しい状況である。
11 理事数削減(規約12条改正)の件
松下専務理事から、次の通り提案があり、原案通り承認されました。
- 規約12条5号に「理事15名」とあるのを、「理事10名程度」に変更することを提案する。
- 提案理由:法科大学院協会の正会員校は最大で74校であったのが、現時点では47校、さらに来年度以降も募集継続するのは35校にまで減少し、会員校が当初の半数程度となることに鑑み、専務理事及び常務理事を除く理事の数を削減することが適当である。
12 理事選考委員会の設置(規約13条)について
松下専務理事から、次回の2020年度前期総会において理事の改選が行われる旨の説明がありました。そして、規約13条に基づき、理事選考委員会の設置が承認され、大貫理事長以外の選考委員として以下の6名が互選されました。
- 大中有信(同志社大学)、片木晴彦(広島大学)、久保野恵美子(東北大学)、高須順一(法政大学)、橋爪隆(東京大学)、水谷規男(大阪大学)
13 その他
大貫理事長から、司法試験委員会幹事会において行われている司法試験の実施時期に関する議論状況につき、「昨年度に協会が決定した実施時期の案(夏休み中で前期にはかからない時期、又は3年次のできるだけ遅い時期)やその他意見として寄せられた案を検討した上で、実施時期の候補として、「5月」「7月及び8月を中心としてその前後を含む夏頃」「10月又は11月」「12月末頃」「2月又は3月」の5つに整理され、また、実施時期を検討する際の主な考慮要素として、(1)法科大学院教育と司法試験との連携(法科大学院教育を十分に行いうる時期での実施)、(2)司法試験の実施に関わる者の負担を踏まえた無理のない試験実施、(3)法改正の趣旨(時間的・経済的負担の軽減すなわちギャップタームの解消)があげられ、これら3つの要素に基づき幹事会において具体的な検討を行った。なお、これ以外、例えば在学中受験をしない者にとってのメリット・デメリット、未修者に与える影響、受験準備のための時間を確保できるか等についても議論した。以上の検討の結果、3説(夏頃説、10月または11月説、12月末頃説)について更に検討を進めることとなった。司法試験の時期がいつになるかは、各法科大学院のカリキュラムにも大きな影響を与える重大な関心事項であるから、会員校と共有できる情報については、できるだけ速やかに情報共有するように努めたい。」旨の説明がありました。
加えて、松下専務理事から、日弁連との意見交換会の実施、ニューズレターの発行、司法研修所との意見交換会の実施、官報の予約販売の件、日弁連主催の司法試験シンポジウムの共催につき、報告がありました。
次回総会は、2020年6月13日(土)に東京で開催の予定です。