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 片山前理事長の後任として協会の理事長に就任した松下です。一言ご挨拶を申し上げます。

 法科大学院制度は、2024年4月に創設から20年が経ちました。この間、司法制度改革審議会の意見書(2001年6月)が提言した司法試験の合格者年間3000人は一度も実現せず、2000人程度が続き、他方で法科大学院の1年間の入学者数は2008年までは5000人を超えていました。その結果、司法試験の単年度の合格率は2009年以降30%を下回るようになり、法科大学院教育の質を疑う指摘や法科大学院制度は失敗であるという指摘が相次ぎ、法科大学院の志願者数も減少の一途をたどっていました。この間は、法科大学院として各方面からの様々な厳しい批判に対応するのに忙殺されました。

 その後、文科省による公的支援の見直しや公的支援の見直し強化・加算プログラム等により、パフォーマンスの上がらない法科大学院の退出が相次ぎ、法科大学院の数はピーク時の約半数にまで減りました。また、法科大学院全体の定員管理や認証評価の厳格化により教育の質の担保が図られました。

 令和元年の一連の法改正により、いわゆる「3+2」、即ち学部の法曹コース3年と法科大学院の既修者コース2年の計5年で法学部入学から法科大学院修了に至るできる道筋の創設、及び司法試験の在学中受験資格の導入により、法曹資格を得るまでの時間的経済的な負担が軽減されました。そのこともあってか、法科大学院の志願者数は令和に入ってから徐々に増加し、定員充足率も9割近くにまで高くなってきています。ようやく前向きの話を積極的にできる状況になったと言ってよいと思います。

 法科大学院協会としては、以上のような状況を踏まえて、「法科大学院相互の協力を促進して法科大学院における教育水準の向上をはかり、もって優れた法曹を養成し、社会に貢献すること」という目的の実現のために、様々な活動を展開していきます。網羅的ではありませんが、例えば以下のような活動を継続し、あるいは開始する予定です。

・在学中受験を踏まえた法科大学院のカリキュラムのあり方(特に3年後期)に関する会員校同士の情報共有
・法科大学院教育と司法修習(特に導入修習)との連携のあり方に関する検討及び司法研修所との意見交換
・2026年の司法試験から導入予定のCBT方式(パソコンを用いた司法試験の実施)に関する情報収集及び会員校への情報提供、会員校の意見集約と法務省への提言
・共通到達度確認試験のあり方に関する検討
・司法試験の問題についてのアンケートの実施とその結果の分析・公表
・「共通的な到達目標モデル」の改訂に向けた検討
・修了生の職域に関する情報収集及び関係各所との連携
・予備試験のあり方についての検討

 以上を含めた活動を展開するために、片山前理事長の路線を踏襲しつつ、会員校の皆様のご協力を得ながら、文科省、法務省、最高裁判所、日弁連をはじめとする関係各所とも緊密に連携していきます。どうかよろしくお願い致します。

法科大学院協会理事長 松下淳一(学習院大学)