News Letter No.56(2024年6月8日〔土〕理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

法科大学院協会の理事会が2024年6月8日(土)13時より、また総会が同日15時より、いずれもzoomによるオンライン方式で開催されました。
以下、総会で審議・報告された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。

総会では、議事に先立ち、松下淳一理事長(学習院大学)から挨拶がありました。来月には在学中受験ができるようになってから2回目の司法試験が実施されるところ、6月3日に法務省から公表された受験予定者の受験資格について、昨年度とはやや傾向が異なり、法科大学院課程修了の資格での受験者は数で426人(8.35%)減少したのに対し、在学中受験者が167人(5.07%)増加しているので、11月の合格発表を注視する必要があるとの認識が示されました。
また、令和8年の司法試験CBT化に対する法科大学院での対応の問題について、アンケートへのご協力に対する謝辞とともに、アンケート結果からは、試験で用いられるソフトウェア・ハードウェアの仕様等について情報が乏しいという会員校の不安が感じ取れるところ、6月に、司法試験及び司法試験予備試験CBTシステム設計導入業務の入札の結果、業者が決まったことが発表され、今後情報が提供される見込みであるので、会員校の声を適切に集約し、関係機関に提供するとともに、関係機関から情報提供がされたら速やかに会員校にお知らせするよう心掛けたいとの方針が述べられました。

1 会員・準会員の入退会
石田京子専務理事(早稲田大学)(以下「石田専務理事」といいます。)より、次の通り会員資格の喪失があった旨が報告がされました。
北海学園大学(法科大学院が2024年3月末付けで閉校)

2 人事
石田専務理事より、次の通り理事の交代があったことが報告されました(敬称略)。
・松下淳一⇒宍戸常寿(東京大学)
・姫野博明⇒直井義典(筑波大学)
・深澤龍一郎⇒小島淳(名古屋大学)
・山下昇⇒大脇成昭(九州大学)

また、専門委員会委員について、下記の通りとなったことが報告されました(敬称略)。
専門委員会委員
○カリキュラム等検討委員会
主任 小池 信太郎(慶應義塾大学)
・未修者基礎教育検討小委員会
副主任(小委員会委員長) 片桐 直人(大阪大学)
委員 花本 広志(東京経済大学)
委員 宮城 哲(琉球大学)
委員 山田 泰弘(立命館大学)
・コア・カリキュラム等検討小委員会
副主任(小委員会委員長) 宮下 修一(中央大学)
委員 小島 淳(名古屋大学)
委員 川嶋 隆憲(慶應義塾大学)
委員 嶋矢 貴之(神戸大学)
委員 土田 伸也(中央大学)
委員 花本 広志(東京経済大学)
委員 御幸 聖樹(同志社大学)
委員 山田 泰弘(立命館大学)
○修了生補助教員ネットワーク委員会
主任 高須 順一(法政大学)
委員 野中 貴弘(日本大学)
委員 本郷 亮(慶應義塾大学)
○司法修習連携等検討委員会
主任 和田 俊憲(東京大学)
委員 青木 哲(京都大学)
委員 粟田 知穂(慶應義塾大学)
委員 内田 義厚(早稲田大学)
委員 金子 剛大(東京大学)
委員 稗田 雅洋(早稲田大学)
○司法試験等検討委員会
主任 堀田 周吾(東京都立大学) 刑訴
委員 淺野 博宣(神戸大学) 憲法
委員 小幡 純子(日本大学)行政法・租税法
委員 大澤 逸平(専修大学)民法・知財法
委員 早川 徹 (関西大学)会社法、経済法
委員 棚橋 洋平(早稲田大学)民事訴訟法・倒産法
委員 南 由介 (日本大学)刑法
委員 桑原 勇進(上智大学)環境法
委員 米津 孝司(中央大学) 労働法
委員 早川 吉尚(立教大学)国際関係法(私法系)
委員 検討中 国際関係法(公法系)
○入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会
主任 藤本 亮(名古屋大学)
委員 石田 京子(早稲田大学)
委員 松下 淳一(学習院大学)
○臨床系教育等検討委員会
主任 宮城 哲(琉球⼤学)
委員 上松 健太郎(名古屋大学)
委員 高平 奇恵(一橋大学)
委員 宮下 修⼀(中央⼤学)
委員 山口 卓男(筑波大学)
委員 ⽶⽥ 憲市(⿅児島⼤学)
○修了生職域委員会
主任 ⽶⽥ 憲市(⿅児島⼤学)
委員 小柿 徳武(大阪公立大学)
○広報委員会
主任 小林 学(中央大学)
委員 上松 健太郎(名古屋大学)

3 令和5年度(2023年度)決算
石田専務理事より、収入について、令和4年度からの繰越金が6,115,127円、会員校・準会員校の会費収入、利息により、合計11,115,437円の収入があったことが報告されました。支出について、会議費の支出がなく、キャラバン企画費が大幅に抑えられたこと等の理由から、当初の予算よりも多い7,975,432円が繰り越され、当年度収支としても1,860,305円の黒字であることが報告されました。
以上の決算につき、小林明彦(中央大学)、下村正明(関西大学)各監事が監査し、会計は適正に執行されていることを確認した旨報告され、総会で承認されました。

4 令和6年度(2024年度)予算
石田専務理事より、収入について、前年度繰越金は、7,975,432円であり、収入額は昨年度より1,660,305円増額となり、総額12,776,932円であり、支出については、例年通りの活動のための費用のほか、各専門委員会とも協働し、オンラインによる情報発信の強化に取り組むためのウェブコンテンツ強化費(80万円)や、法科大学院や法曹を対象としたドラマや映画などが増えつつある中、何らかこのようなコラボレーションを持てる時には積極的に広報を行っていくための広報強化費(50万円)が計上されているとの説明がなされ、総会で承認されました。

5 キャラバン企画
キャラバン(列島縦断☆ロースクール説明会&懇談会)について、昨年12月の総会以降、名古屋会場、名古屋大学にて2024年2月17日(土)、ハイブリッド方式で開催されたことが報告されました。また、2024年4月20日(土)に、東京会場(全国版)がオンラインで実施され、約300名の参加者があり、参加者アンケートの結果大変好評であったことが報告されました。今後、2024年6月23日(日)には東北会場、東北大学においてハイブリッドでの開催が予定されています。
なお、キャラバンについては、裁判官・検察官派遣の手続については、各地の会場からもご依頼があれば、これまで通り派遣依頼の手続を事務局で担当することとしています。そのほか、広報の面でも協会がご協力させていただきますので、ご連絡ください。

6 各専門委員会からの活動報告
(1)カリキュラム等検討委員会「未修者教育に関する取り組みについて」
カリキュラム等検討委員会小池信太郎主任から下記の報告がされました。
カリキュラム等検討委員会には、未修者基礎教育検討小委員会、コア・カリキュラム等検討小委員会という2つの小委員会があり、未修者基礎教育検討小委員会では、2021~2022年度に実施された各科目に関するFD講演会の成果を踏まえ、同小委員会主任の片桐直人先生(大阪大学)自身の担当授業につき、コンテンツのオンライン化や反転学習の取り入れといった試みをしています。コア・カリキュラム等検討小委員会では、関係各機関との情報共有、意見交換をしており、各法科大学院におけるコア・カリキュラムの利用に関するアンケート調査等を念頭に、情報収集・分析に努めています。
(2)修了生補助教員ネットワーク委員会「修了生補助教員ネットワーク委員会の活動状況について」
修了生補助教員ネットワーク委員会高須順一主任から、下記のとおり報告がされました。
2024年4月6日に一般社団法人法曹養成ネットワーク(以下「プレネット」という。)の主催で、『プロボノマッチング2024』がオンラインにて開催されました。法科大学院協会もこの活動を応援し、文科省及び日弁連と共にこの企画を共催しました。プレネットや今回、参加した各種団体の関係者は、実際に各法科大学院で補助教員を務めている方が多く、この種の活動を通じて、そのネットワークの構築の重要性を当委員会として改めて認識しています。引き続き補助教員の皆さんの活動を応援していきたいと思っています。                           
(3)司法修習連携等検討委員会「司法修習との連携について」
司法修習連携等検討委員会和田俊憲主任の報告を司会が代読しました。
・司法修習連携等検討委員会では、2月にオンラインで意見交換会を実施し,これまで同様,法科大学院側と司法研修所側の双方から多数の参加を得て,法科大学院の理論科目,および,研修所の起案科目を対象に,それぞれの実情について情報を共有し,議論を行いました。刑事法における「共謀」の認定を共通テーマとして,慶應義塾大学法科大学院の刑法の理論科目と,研修所の刑事裁判の起案科目を対象に,同様の形式・方法で,情報共有および意見交換を図りました。 
次の意見交換会は,本年7月22日月曜日の午前に予定しています。
(4)司法試験等検討委員会「司法試験アンケートについて」
司法試験等検討委員会堀田周吾主任から下記の通り報告がされました。
昨年より司法試験の実施時期が変更されたことに伴い、2023年11月から12月にかけて司法試験アンケートへの回答について協力を依頼しました。今年も同様のスケジュールで実施予定です。ここ数年の傾向として、回答率や記述式意見の数などが減少していますが、司法試験の動向を定点観測するという本アンケート調査の意義をご理解いただき、引き続きのご協力をお願いいたします。
また、本年2月に、昨年の司法試験を検討対象としたシンポジウムが開催されました。現時点で日程等は未定ですが、同様の時期に、今年の出題を踏まえた司法試験シンポジウムが開催される予定です。
(5)入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会「共通到達度確認試験の実施について」
入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会藤本亮主任の報告を司会が代読しました。
2024(令和6)年1月7日(日)に、第5回共通到達度確認試験が無事に実施されました。
2019年度第1回から2021年度第3回の共通到達度確認試験受験者が2023(令和5)年司法試験を受験しました。共通到達度確認試験管理委員会では司法試験合格発表後の2023年11月から12月にかけて第1回から第3回共通到達度確認試験受験者の第2回追跡調査を実施し、第1回追跡調査と同様に共通到達度確認試験と1年次GPAがともに司法試験最終合格に対して予測的妥当性があることが観察されました。2024(R6)年司法試験合格発表後に、第4回までの共通到達度確認試験受験者の追跡調査を実施する予定です。
第6回共通到達度確認試験は2025(令和7)年1月12日に実施予定です。各法科大学院には引き続きご協力をお願いします。
(6)臨床系教育等検討委員会「委員会での取り組みについて」
臨床系教育等検討委員会宮城哲主任の報告を司会が代読しました。
臨床系教育等検討委員会は、2024年度において、前年度の活動方針としていた「法科大学院における臨床系科目のコア・カリキュラムのあり方」等について引き続き検討をする予定です。検討を進める中で協会加盟校各位に協力をお願いすることもあると思われるので、ご協力ください。
(7)修了生職域委員会「修了生の職域拡大のための取り組みについて」
修了生職域委員会米田憲市主任から、下記の通り報告されました。
修了生職域委員会は、今年度、①これまでの組織内弁護士協会、経営法友会、東京三会、大阪弁護士会などとの情報交換や協力依頼を継続するとともに、②量的不足と言われている法曹の人材市場の状況の把握につとめ、③法曹養成連携基礎課程や在学中受験制度導入後の司法試験合格者数の動向や就職活動や求人活動の動向を踏まえて、修了生への職域情報の提供や進路確保に、関係諸委員会と連携して対応する予定です。
(8)広報委員会「法科大学院協会からの情報発信について」
広報委員会小林学主任から、下記の通り報告されました。
キャラバン東京会場について、本年も多くの参加者を得て無事に開催することができました。協会ホームページについては、引き続き、法科大学院や法曹の仕事に関心を寄せる学生らに向けたコンテンツの作成・充実に取り組んでいます。とりわけ、法科大学院協会の活動自体について情報発信を充実させる観点から、「専門委員会活動」に掲載する内容を随時更新・拡充することを検討したいと思います。また、会員校・準会員校の法曹コースを案内するウェブサイトへのリンク集もあるので、こちらについてご確認を頂き、お気付きのことやリンク先の差し替え等の必要がある場合には、協会事務局までお知らせください。

7 司法試験CBT化について
磯部哲事務局長(慶應義塾大学)から、司法試験のCBT化について、下記の通り報告がされました。
アンケートの概要
1 アンケート実施期間:2024年4月12日~4月26日
2 アンケート実施方式:Google Formを用いたオンラインアンケート
3 回答数:31校
4 回答校内訳:国公立14校、私立17校
定員60名を超える会員校10校
定員60名以下の会員校21校
司法試験CBT化に対する評価
〔集計結果〕
積極的に評価する 45.2%
わからない    35.5%
消極的に評価する 19.4%
定期試験CBT化の検討
検討している 74.2%
未定     16.1%
検討していない 9.7%
アンケートの自由記述では、改革の必要性には一定の理解が示されたものの、実施方法、実施に至る過程、実施後の負担などについて、様々な不安や要望が寄せられている旨報告がなされました。
総会では、宍戸常寿理事(東京大学)より、東京大学ではCBT化について、民間業者とも意見交換を実施していること等の情報提供がなされました。
CBT化については、協会としても、アンケートの結果を踏まえた対応を予定しており、会員には、ご意見をお寄せいただきたいと思っております。

8 その他
2023年12月の後期総会以降の協会活動として、本年2月17日(土)午後に、日弁連主催の「司法試験シンポジウム~新しい状況下での司法試験の出題傾向等の検討~」が開催されたこと、「令和5年度司法試験に関するアンケート調査結果報告書」については、シンポジウム後の2月22日付で、協会ホームページに掲載したこと、News Letter No.55(2024年12月9日〔土〕理事会及び総会報告)を、協会HPに掲載したことが報告されました。
また、松下理事長より、第5回共通到達度確認試験が2024年1月7日(日)に実施されたことが報告され、実施に当たってご尽力くださった関係の先生方への謝意が述べられました。本試験については、2019年度から日弁連法務研究財団と協会で「共通到達度確認試験管理委員会」を組織して実施してきましたが、本年4月に、引き続き財団から支援を受けることが決定しました。
次回総会は、【2024年11月30日(土)】、オンラインでの開催を予定しています。詳細は決定し次第MLにてご連絡いたします。

総会中に、保坂孝・文部科学省高等教育局専門教育課専門職大学院室長より、以下の通り行政説明がなされました。
平成30年を底に、法科大学院の志願者、入学者は改善傾向にあり、今年度は、2000人後半の入学者になる見込みであることが報告されました。司法試験について、法務省令和6年司法試験受験予定者のうち、在学中受験者が昨年より増加しており、在学中受験2回目を踏まえ、制度・運用に改善すべき点があるかどうかについて法科大学院の意見を聞いて検討したいとの意向が示されました。
また、法科大学院には、機関別・分野別認証評価がなされるところ、久しぶりに全ての法科大学院が適合状態となり、今後も維持されることが期待されること、加算プログラムについて、審査結果は近く公表できる見込みであること、教育訓練給付制度について、前年度よりも法科大学院にかかる指定が増加しており、社会人の経済的負担軽減がはかられる点で望ましいこと、CBTの検討が進んでいるが、説明の機会など、法務省と連携をし、法科大学院関係者との速やかな連携をはかりたいことなどの説明がなされました。