News Letter No.48 (2020年9月1日理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

 法科大学院協会の総会および理事会が、2020年9月1日(火)に、zoomを利用したオンライン方式により開催されました。4月15日から24日までメールでの持ち回りにより開催された理事会において、コロナウイルス感染症の状況に鑑み6月13日(土)に予定されていた理事会・総会を延期することが決定されました。当初予定されていた6月13日(土)の理事会・総会での審議・報告事項のうち、理事・監事改選に関わる事項以外の事項については、2020年6月26日(金)から7月2日(木)までのメール持ち回りによる理事会および、7月3日(金)から同月9日(木)までのメール持ち回りによる総会において審議・報告されました。今回の総会および理事会は、上記のメール持ち回りの理事会・総会で持ち越された理事・監事改選にかかわる事項について審議・報告したものです。
 以下、総会で審議・報告された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。

1 理事選考委員会の報告と承認の件

 まず、松下淳一専務理事(東京大学)から、2020年6月で現在の理事・監事の任期が終了する予定であったこと、しかしコロナウイルス感染症問題によりその任期を2020年9月頃に開催される総会まで延長することとなったこと、今回その改選を行うことの説明がありました。
 次に、大中有信理事選考委員会委員長(同志社大学)より、2019年12月21日に開催された理事選考委員会(同日開催の総会において設置。大中委員長、片木晴彦(広島大学)、久保野恵美子(東北大学)、高須順一(法政大学)、橋爪隆(東京大学)、水谷規男(大阪大学)、大貫裕之(理事長))において、下記の11名を被選考理事候補者として選出した旨の報告がありました。規約13条1項により、これら候補者を理事として選任することが総会に諮られ、承認されました。

  • <北海道東北地区> 城下裕二(北海道大学)
  • <関東地区> 片山直也(慶應義塾大学)、小林明彦(中央大学)、橋爪隆(東京大学)、下井康史(千葉大学)、峰ひろみ(東京都立大学)
  • <中部北陸地区> 高橋祐介(名古屋大学)
  • <近畿地区> 野田輝久(関西学院大学)、笠井正俊(京都大学)、早川徹(関西大学)
  • <中国四国九州地区> 佐藤吾郎(岡山大学)。

 これを受け、一旦総会が休会とされ、規約第14条 により、上記で選任された理事が別室ZOOMに参集して開催した理事会において理事長の互選を行い、この互選により、新理事長として片山直也理事(慶應義塾大学)が選任されました。また、副理事長・専務理事・常務理事の指名と承認、理事長職務代行者の指名、事務局長の指名と承認、事務局次長・常務委員の指名、特別顧問委嘱の承認が行われました(下記3.及び5.参照)。

2 新理事長の選任(報告)と新理事長の挨拶の件

 上記の新理事長の互選を受けて再開された総会において、松下専務理事から、新理事長として片山直也理事(慶應義塾大学)が互選されたことが報告され、片山新理事長より、以下の内容の就任の挨拶がされました。
 「前理事長はじめ前執行部の尽力で、3+2(法曹コース)、司法試験在学中受験を基軸とする新たな法曹養成制度が始動した。これは2004年の法科大学院を中核とする新法曹養成制度が導入されて以来の本格的な制度改革となる。我が国の法科大学院制度の歴史が創世期の第1期を経て、過渡期・成長期というべき第2期に移行したといえる。
 予期せぬ新型コロナの感染拡大により厳しい状況が続くが、まずはこれを乗り越え、3+2の新たな法曹養成制度を軌道に乗せることが法科大学院協会および各会員校にとっての当面の課題といえる。
 任期満了の3年後には法曹コースが完成年度を迎え、最初の司法試験在学中受験が実施される。この間協会としてできることには限りがあるが、例えば、コアカリキュラムの見直し、司法試験・司法修習との連携や各法科大学院における教育水準の向上のお手伝いをし、キャラバン等のPR活動等の推進を通じて、法曹コース、法科大学院、ひいては法曹に対する志願者の増大に少しでも貢献できればと考えている。
 他方、多様な法曹の養成という法科大学院制度にとってのもう一つ重要な課題として、未修者コースの制度改革がある。未修者コース改革は今般の制度改革では先送りとなったが、いよいよ中教審でも、ICTの活用、長期履修制度等といった本格的な制度改革に向けた議論が開始したようである。これとの関係では新型コロナウイルス感染防止のため各法科大学院で実施されているオンライン授業の経験が制度改革をさらに推進することになると考える。法科大学院協会としても、未修者教育の制度改革については、教育メソッドの開発にむけて各会員校の意見や取り組みを集約したり、相互協力を推進する枠組みを設けたりといった協会に与えられたミッションは決して少なくないと考えている。いずれにせよコロナ禍の困難な状況においては現場のロースクールで陣頭指揮を執られている各会員校の長の先生方のご意見をうかがうことが協会の運営にとって不可欠と考えている。新理事長として、これから紹介する新執行部の先生方の力をお借りして、協会規約3条に掲げられている『法科大学院相互の協力を促進して法科大学院における教育水準の向上をはかり、もって優れた法曹を養成し、社会に貢献すること』という協会の目的に沿って、今期の協会の3つの課題(①コロナ対応、②3+2を軌道に乗せること、③未修者コースの制度設計に寄与すること)について試行錯誤を繰り返していきたい。会員校の皆様には協力をお願いしたい。」

3 副理事長、専務理事及び常務理事、事務局体制等の報告の件

 片山新理事長より、副理事長、専務理事及び常務理事につき、規約15条により以下の各名の選任が理事会において承認された旨の報告がありました。

  • 副理事長:山本和彦(一橋大学)、中川丈久(神戸大学・留任)
  • 専務理事:松下淳一(東京大学・留任)
  • 常務理事:大中有信(同志社大学)、久保野恵美子(東北大学)、土井真一(京都大学・留任)、松村和徳(早稲田大学)

 また、規約18条2項による理事長の職務執行代行者として中川丈久副理事長を指名した旨の報告がありました。
 続き、規約37条3項による事務局長の任命につき、次の通り理事会において承認された旨の報告がありました。

  • 事務局長:石田京子(早稲田大学・留任)

 また、事務局次長及び常務委員につき、以下の各名を指名した旨の報告がありました。

  • 事務局次長:小林学(中央大学)、高橋真弓(一橋大学・留任)
  • 常務委員:手塚明(明治大学・留任)、堀江慎司(京都大学・留任)、八田卓也(神戸大学・留任)

4 監事の選任の件

 松下専務理事より、小池泰(九州大学)、水谷規男(大阪大学)の各名を監事に選任することの提案があり、規約16条により、総会において承認されました。

5 大貫前理事長への特別顧問委嘱の報告の件

 松下専務理事より、規約32条2項により、大貫裕之前理事長(中央大学)への特別顧問の委嘱について理事会にて承認されたことの報告がありました。
 これを受け、大貫前理事長より、概要以下の挨拶がありました。
 「2017年6月3日に選任され、3年3か月理事長を務め、2003年の常務委員就任以来、途中1年を除き、17年にわたり協会の仕事にかかわってきた。仕事の過程では多くの方に助けていただき、お礼を申し上げる。理事長在任期には、司法試験の在学中受験、いわゆる3+2(法曹コース)の導入といった大きな法科大学院制度の改革がなされ、その過程において法科大学院協会内部で厳しい議論がなされそれが協会に一定の亀裂をもたらしたが、その亀裂を今後現状の制度の適切な運営を通じて回復していくことができると信じている。法科大学院制度が安定しないことから、学生も不安定な状況に置かれており、それについて理事長在任中に十分な対応をすることができたとはいえず力不足を反省している。今後法曹関係者との緊密な協力を通じて制度を安定させることにより、学生を不安定な状況から解放することが重要である。今般の制度改革への対応で法曹関係者等との連携は深まったと考えられ、それを継続していくことが必要である。自分自身は第一線から退くが、法学未修者教育の充実に向けた検討・司法研修所における教育と法科大学院教育の連携のありかた等については、今後も宿題として取り組みたいと考えている。」

 次回理事会・総会は、2020年12月12日(土)にzoomを利用したオンライン方式により開催する予定です。