News Letter No.45 (2019年6月22日理事会及び総会報告)
法科大学院協会事務局
法科大学院協会の理事会が、2019年6月22日(土)11時30分より、上智大学四谷キャンパス6号館3階306教室で、また、総会が、同日13時より、同キャンパス6号館3階301教室で開催されました。開催に当たり会場の提供・準備にご尽力くださいました、森下哲朗法科大学院長をはじめとする上智大学関係者の皆様に厚く感謝申し上げます。
以下、総会で審議・報告された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。
総会では、議事に先立ち、小幡泰弘文部科学省高等教育局専門教育課長から挨拶と、①法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律の概要、②法科大学院を中核とする法曹養成制度改革の全体像(改革プラン)、③「『法曹コース』に関する考え方について」等に関して説明がありました。
また、大貫裕之理事長(中央大学)から挨拶があり、「法曹養成制度改革関連法案が6月19日に可決されたが、未修者教育・地方における法曹養成等問題は山積みしている。他方で、『ロースクールへ行こう!!』の参加者が各会場で増えている、今年度入試では法科大学院志願者が1000名、入学者が241名増えているなどの良い傾向もある。昨年の理事会では、『このような法科大学院で教えたいと思うか』という厳しい指摘を頂いた。その折にもお答えしたように、『教えたいと思えるような法科大学院』にしていかなければならないと考えている。」旨が述べられました。
1 会員資格喪失の件
片山直也専務理事(慶應義塾大学)から、以下の法科大学院が廃止されたため会員資格を喪失した(規約8条)旨、報告がありました。
神奈川大学、関東学院大学、熊本大学、静岡大学、中京大学の各法科大学院(いずれも2018年度をもって閉鎖)
2 理事交代の件
片山専務理事から、法科大学院代表者の交代に伴い、規約13条4項により、以下の理事の交代があった旨の報告がありました。
沖野眞已理事→橋爪隆理事(東京大学)
小粥太郎理事→山本和彦理事(一橋大学)
中原茂樹理事→久保野恵美子理事(東北大学)
森田憲右理事→大石和彦理事(筑波大学)
また、片山教授が4月からサバティカルに入っていることから、6月23日付で専務理事の職を松下淳一常務理事に交代し、片山教授は引き続き常務理事として執行部運営に協力していくことが理事会で承認された(規約15条1項)旨の報告がありました。
3 平成30年度決算報告
片山専務理事から、平成30年度決算報告について説明があり、その中で、収入については、当初の予算額よりも若干金利が多かった点を除いて、予算通りであることが報告されました。また、支出については、開催校(早稲田大学、法政大学)の協力により理事会・総会等の会場費を予算より相当低く抑えることができたこと、昨年度は法曹養成制度改革に伴う議論のために臨時理事会・総会を開催したため、会議費が予算より増加したこと、シンポジウムを2回開催したためシンポジウム経費も予算より増加したこと、キャラバン企画費も各会場の会場費の節約等により予算より減額されたこと等が報告されました。ほぼ予算通りの執行ですが、志願者増に向けた活動のため昨年の総会で定期預金の一部を用いて300万円を充てることが承認されたところ、それをほぼ使い切ったことになります。厳しい財政状況であることには変わりがありません。
続いて下村眞美監事(大阪大学)から、峰ひろみ監事(首都大学東京)とともに会計帳簿・書類等を精査したところ決算書の通り会計は適正に執行されていることを確認した旨、監査報告があり、規約41条1項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。
4 令和元年度予算案について
片山専務理事から令和元年度予算案について説明があり、規約41条2項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。特記すべき事項として、収入については、会員校・準会員校の減少により会費収入の減少が見込まれること、志願者増に向けた活動のため昨年に引き続き定期預金の一部を用いて200万円を充てること、支出については、キャラバン企画費に昨年同様270万円を計上していること(一昨年の各会場へのアンケート結果を踏まえて、1会場の予算を上限30万円としています)、会員校間及び会員校と執行部との意見交換を促進する取り組みとしてのメーリングリスト設置(昨年度の臨時総会で承認)の費用を計上していることが挙げられます。
5 平成30年度キャラバン実施報告及び令和元年度の実施について
片山専務理事から、昨年度は9会場で「ロースクールへ行こう!!2018☆列島縦断☆ ロースクール説明会&懇談会」が開催されたとの報告があり、共催者(日本弁護士連合会)、後援者(最高裁判所、法務省、文部科学省)、各会場校並びに会員校による協力に対して謝辞が述べられました。
また、一昨年の理事会・総会において、キャラバンを当面継続する方針が承認され、昨年はアンケートに基づいて予算を増額して実施したが、本年度もキャラバン企画は既に始動しており、4月20日に明治大学で開催した東京会場には第1部約180名、第2部約200名の来場があったこと、現時点で東北会場(6月30日)及び阪神会場(10月26日)の開催日時が決定していること等の報告がありました。
6 法曹養成制度改革について
片山専務理事より、既に報道されているように法曹養成制度改革関連法案が5月10日に衆議院、6月19日に参議院でも可決され成立したこと、3月11日の臨時理事会・総会で、文部科学省・法務省の担当者から説明を頂いた法案概要と変更がないと説明されている旨述べられました。
続いて、会員校に対して実施した司法試験の実施時期に関するアンケートに関する報告書(暫定版)についての説明がありました。理事会では同アンケートのまとめ方について種々意見があったため、修正して再度理事会構成員の意見を聴き、執行部の責任で後記の会議体に提出したいという旨の報告がありました。
また、司法試験の在り方を検討するための会議体の設置について、かねてより協会として強く申し入れをしていたところ、国会審議段階でも、法案成立後に速やかに会議体を設置する予定であるという答弁があり、今後この会議体の設置に向けて必要な検討・準備が進められると見込まれるが、協会執行部としても、会議体の構成やそこでの議論に関し、引き続きしっかりと意見を述べていきたい旨が述べられました。
7 広報委員会「法科大学院協会からの情報発信について」
磯部哲広報委員会主任(慶應義塾大学)が欠席のため、片山専務理事が報告を代読しました。
・2015年度以来、法科大学院協会のホームページの改訂に努めており、会員校向けの各種案内だけでなく、会員校の修了生の活躍をアピールできる画面・インタビュー記事等への接続を図るよう運用を改善し、昨年ようやくホームページのリニューアルを公開できた。
・今後も引き続き、ホームページの改訂を工夫し、協会ホームページとの接続を希望される会員校の要望に沿うように対応していくと同時に、法科大学院の志願者増に向けてサイトのリニューアルを継続的に検討するなど、広報活動の強化充実を図っていきたい。
8 教員研修等検討委員会「司法研修所における教員研修の実施について」
佐藤隆之教員研修等検討委員会主任(慶應義塾大学)から、次の通り報告がありました。
・令和元年度教員研修を8月29日(刑事系)及び9月6日(民事系)に司法研修所において実施し、集合修習の授業見学と司法研修所教官との意見交換を行う予定である。多数のご参加をお願いしたい。
9 司法試験等検討委員会「司法試験アンケートの実施について」
髙橋直哉司法試験等検討委員会主任(中央大学)から、次の通り報告がありました。
・2018年12月1日に日本弁護士連合会主催の司法試験シンポジウムにおいて、当協会が実施した司法試験アンケートの概要を報告した。
・2018年12月21日に法務省で開催された司法試験検証担当考査委員会議に、当委員会委員及び当協会関係者が出席し意見を述べた。
・今年度も昨年度と同様のスケジュール感で司法試験アンケートを実施するので関係各校にはご協力をお願いしたい。
10 入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会「共通到達度確認試験の実施について」
藤本亮入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会主任(名古屋大学)が欠席のため、片山専務理事が報告を代読しました。
・3月に第5回共通到達度確認試験試行試験が無事に実施された。問題作成にご尽力いただいた出題主任・出題委員の先生方、スムーズな実施にご協力いただいた会員各校の皆様に御礼申し上げる。また、2019年度からの共通到達度確認試験実施に向け、試験問題の各校での印刷試行をお願いしたところ、丁寧にご対応いただいたことにも御礼申し上げる。複写機によっては設定機能の制約でホチキス止めの箇所が数ミリずれるというご報告をいただいたが、共通到達度確認試験管理委員会で確認し、当該複写機の設定の範囲内でホチキス止めしていただくことにする。
・2019年度共通到達度確認試験に向けては、作問委員会の体制も確定し、作問主任の先生方を中心に作問作業を進めていく。共通到達度確認試験管理委員会で、業務委託先の公益財団法人日弁連法務研究財団、公益社団法人商事法務研究会とも協議しながら、実施要項案とマニュアル案を準備しているので、案がまとまったら会員各校にお送りしてご意見を伺う予定である。
・2019年度の共通到達度確認試験は法科大学院生のみを対象としているが、2021年度以降の試験における法科大学院進学予定の学部生の受験の可否について検討事項となっている。会員校のご意見を伺いながら制度を整えていきたいと考えているので、ご協力をお願いする。
また、専務理事が片山直哉教授から松下淳一教授に交代することから、入学者選抜・共通到達度確認試験等検討委員会の委員も松下教授に交代する旨、共通到達度確認試験管理委員会に対しても松下教授を委員として推薦することが理事会で承認された旨の報告がありました。
11 修了生職域委員会「修了生の職域拡大のための取り組みについて」
阿部博友修了生職域委員会主任(一橋大学)から、次の通り報告がありました。
・就職動向調査(第7回)を昨年と同様のスケジュールで実施予定であり、各校のご協力をお願いしたい。第6回の調査結果については、既に協会ホームページに掲載している。今後こうした統計資料を委員会の活動にさらに活用していきたい。
・協会や委員会の活動とは別に、外部の企業が各大学で法科大学院新入生向けのキャリアセミナーを実施している動きがあり、法科大学院入学者を増やすことを念頭に学部学生はもちろん、事務担当者、学部の先生方にも聴講頂いている例がある。未開催の大学等で、こうしたセミナーの開催に関心があれば、できる範囲内で職域委員会も協力していきたいのでご連絡頂きたい。
・昨年同様、中央省庁の合同説明会を8月上旬を目処に開催すべく企画中である。
・昨年度は、東京商工会議所主催の就職情報交換会(2018年10月23日、2019年1月25日)において、中小企業向けに法科大学院修了生の魅力をアピールし、採用に向けての協力を依頼した。また、本年秋に開催される大阪商工会議所主催の就職情報交換会において、法科大学院協会としてのブースを開設することについて了解を得ている。こうした中小の優良企業との連携を機に、特に地方部の法科大学院修了生に焦点を当てて職域拡大に努めていきたい。
12 臨床系教育等検討委員会「シンポジウム記録の公表方法等について」
後藤昭臨床系教育等検討委員会主任代行(青山学院大学)から、次の通り報告がありました。
・宮川成雄当委員会主任(早稲田大学)が本年8月まで在外研究中のため、後藤が主任代行を務めている。
・昨年6月9日に開催した当協会のシンポジウム『ロースクールだからできる教育、育った法曹―臨床法学教育―』の報告内容を協会ホームページに掲載して公表する予定である。
・会員校に対する法科大学院における臨床系教育の実施状況調査を今後予定している。
13 その他
以下の事項についての意見交換がありました。
(1) 会費(値上げ)の件
(2) 来年度以降のキャラバンのあり方の件
(3) 理事数(減員)の件
(4) 法曹コースを設定する大学との意見交換の場のあり方の件
加えて、ニュースレターの発行、日本弁護士連合会、司法研修所との意見交換会の開催、司法試験合格者氏名掲載の官報の予約販売の件について報告がありました。また、予算を承認頂いたメーリングリストにつきましては、準備が整い次第、会員校にご案内させて頂きます。
次回総会は、2019年12月21日(土)に関西地方で開催の予定です。