News letter No.21(2008年12月6日理事会、総会及びシンポジウム報告)

法科大学院協会事務局

2008年12月6日(土)10時30分より、早稲田大学8号館において理事会が開催されました。また、同日12時30分より同館において総会が開催されました。総会に引き続き、同館においてシンポジウム「法科大学院の着実な発展のために何が必要か」が開催されました。開催に当たり会場の提供・準備に尽力下さいました鎌田薫副理事長・浦川道太郎財務担当理事・田口守一主査をはじめ早稲田大学関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
総会では、後藤昭常務理事の司会の下、以下の事項について報告と提案がなされ、承認されました。
尚、議事に先立ち、文部科学省高等教育局久保公人審議官より挨拶があり、文科省としては、法科大学院制度を今後も支援する所存であるが、中教審大学分科会・法科大学院特別委員会の「中間まとめ」にもあるとおり、法科大学院としても入口から出口迄を通じて制度の信頼性を確保する必要がある旨の発言がありました。

1 法曹養成制度のあり方に関する連携協議の件

連携協議委員会大澤主任より、①五者協(当協会・最高裁・法務省・文科省・日弁連)における法科大学院成績と新司試成績との関連性調査等について、②協力校を20校に増やして実施されている本年度の関連性調査の進行状況に関して、③2007年調査に協力した6校の修了者で新61期修習生となった者の2回試験合否結果を最高裁から提供して貰い、法科大学院成績・新司試成績と連結した検証を試行する方向で検討中であることが報告されました。また、来年度以降の検証の方向性については、五者協の委員の井上常務理事および同幹事会員の大貫事務局長と協議の上、五者協における協議に対応し、2009年3月の当協会理事会・総会に諮りたい旨報告されました。

2 適性試験実施主体の件

担当の永田専務理事より、大学入試センターが2010年を以て適性試験実施を取り止める予定であるが、今後の実施主体をどうするかについて2009年3月の総会に具体的な案を示す方向で作業中であること、目下のところ、当協会又は当協会が主導する委員会が主体となり試験実施について業務委託する方向で検討中であるが、財政面の問題、及び、大学入試センターが実施している適性試験を継承し得るか等の問題があることが報告されました。

3 法科大学院修了者職域問題の件

法科大学院修了者職域問題等検討委員会浜川主任より、①日弁連・人事院・経営法友会と個別に各々協議を重ねてきたこと、②法務省大臣官房主催の「法曹有資格者の活動領域拡大に関する意見交換会」に参加して日弁連・日本経団連・法務省・文科省・経営法友会と意見交換を重ねてきたこと(2008年12月に同意見交換会取り纏めがなされました)、③当協会の主催・共催による就職セミナー・国家公務員Ⅰ種採用セミナーの実施状況、④ジュリナビとの連携状況、⑤今後の取り組み(企業法務シンポジウム・法科大学院就職担当教員会議の開催等)について報告がありました。

4 共通的到達目標の検討の件

カリキュラム等検討委員会山本主任から、中教審大学分科会・法科大学院特別委員会のワーキンググループにおける共通的到達目標についての議論の経緯等が報告されました。更に、文科省科研費による研究班からの「連携して共通的到達目標のあり方を検討したい」旨の申し入れがあったのでこれを受けることとしたいが、これについては(共通的到達目標を設定すべきか否かも含めて)一切前提を設けない方針である旨説明された。
また、「法律基本科目及び法律実務基礎科目の現状」調査につき、ほぼ全ての加盟校から回答があったことへの謝意が表明された。

5 その他

法テラスの呰真希弁護士より、法テラスの概要及び法科大学院に法テラスから提供可能なメニュー(講演やセミナーへの講師派遣、法科大学院生のエクスターン受け入れ)について説明がありました。
2007年9月1日から1年間会員資格を停止されていた慶應義塾大学法科大学院は、資格停止期間を終了したため、会員資格を回復し協会の活動に復帰したこと、資格停止期間終了にあたり、再発防止策についての報告を受けたことが後藤常務理事から報告されました。
大貫事務局長より2008年6月7日の総会以降の主な動きが以下の通り報告されました。

  1. 2008年(以下、この項目において同じ)7月18日に日弁連が「法曹人口問題に関する緊急提言」を発表し、司法試験合格者数の増加のスローダウン等を主張した。
  2. こうした提言など、司法制度改革をめぐるさまざまな議論を受けて、協会は、8月7日に理事長名で、「法曹養成制度をめぐる最近の動きについて」と題する声明を発表した。
  3. 8月23日、協会は、「新たな法曹養成制度における法科大学院のあり方を考える」と題したシンポジウムを、文部科学省及び財団法人日本文教協会との共催で開催した。
  4. 日弁連執行部と協会執行部との意見交換を行なった(第一回7月8日。第二回9月16日。第三回11月19日)
  5. 司法研修所と協会執行部との意見交換を行なった(第一回7月14日。第二回10月20日)
  6. 規制改革会議が第三次答申を作成しており、そこには、予備試験に関する記述も含まれており、協会執行部は関係機関とも連携をとって対処している。
  7. 9月30日、中教審大学分科会・法科大学院特別委員会が、「法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(中間まとめ)」を公表した。これを承けて文部科学省は、10月20日から11月11日まで全国74法科大学院から「法科大学院教育の改善に関するヒアリング」を実施した。

なお、後藤常務理事から、このような状況に鑑みて、協会として、定員問題を含む各法科大学院の改善の取り組みにつき近日中にアンケートを実施することを理事会で決定したので、各会員校に協力を願いたい旨の報告があった。

6 次回総会・理事会・シンポジウムについて

標記について、後藤常務理事より下記の方針であることが報告されました。
次回総会は2009年3月14日(土)午後、神戸大学で開催し、併せて午前中に理事会、総会後には実務基礎科目の明確・標準化に関するシンポジウムを開催する予定であること。

シンポジウム「法科大学院の着実な発展のために何が必要か」
総会に引き続き開催されたシンポジウムは、大要、以下の通りでした。第1分科会「入学者の選抜と受け入れ」では、入学者選抜における適性試験の扱い、入学者選抜における「質と多様性の確保」、入学定員の在り方が議論されました。第2分科会「教育の内容と方法」では、法科大学院における共通的到達目標(コアカリキュラム)の要否・問題点等が議論されました。第3分科会「修了後の過程との連携」では、連携検証調査が報告され、既修と未修との相違が顕著になりつつあること等が報告された他、司法研修所での修習を担当する立場からは、法科大学院における実務基礎科目はかつての前期修習を前倒しするものではないこと、民事・刑事裁判科目の教育基本モデルを2009年3月に公表する予定であることが報告されました。また、法科大学院修了後新司試受験迄の期間、新司試終了後司法修習開始迄の期間の法科大学院としての取組みの例が報告されました。分科会に続いて、全体会での討論がありました。
このシンポジウムの内容は、ロースクール研究13号の特集にも掲載される予定です。

 

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