News Letter No.34 (2014年5月31日理事会及び総会報告)

法科大学院協会事務局

法科大学院協会の理事会が、2014年5月31日(土)11時00分より、京都大学吉田キャンパス・法経本館大会議室で、また、総会が、同日13時30分より、法経第七教室で開催されました。開催に当たり、会場の提供、準備にご尽力くださいました村中孝史教授、洲崎博史教授、笠井正俊教授、堀江慎司教授をはじめとする京都大学関係者の皆様に厚く感謝申し上げます。

以下、総会で報告・意見交換がされた事項を中心に、概要をご報告申し上げます。

総会では、議事に先立ち、まず、鎌田薫理事長より挨拶があり、入学者数の減少・適性試験受験者数の減少など法科大学院にとっての状況は厳しさを増していること、法学部志願者も減りつづけていることなどから将来の法曹界・法学界に与える影響が心配であり、国をあげてこの事態を改善していかなければならない瀬戸際に追い詰められている危機感があるということ、法科大学院が全体としての法学教育に力を発揮していかなければならず、法科大学院が置かれている状況についての認識を共にしていく必要があることなどの所感が述べられました。

1. 平成25年度決算報告について

財務担当の後藤昭専務理事より報告がありました。その中では、修了生活躍情報発信等経費の一部を来年度に繰り越すことになった等の説明がありました。続いて、同決算について、池田清治監事より、会計が適正に執行されている旨の報告があり、規約41条1項に基づき、理事会の議を経た上で、総会において承認されました。

 

2.平成26年適性試験の実施について

入学者選抜・適性試験等検討委員会の毛利透主任から報告があり、第1回を既に5月25日に実施し、第2回は6月8日に予定されていること、理事長挨拶にあったように、志願者数は昨年よりさらに減少して厳しい状況であること、従来17都市で実施してきたが今年度については6都市について第1回・第2回どちらかのみを行う形で実施したことが報告されました。また、会場の無償提供に協力してくれた大学に対しての感謝も述べられました。

 

3. 司法試験アンケートの実施について

司法試験等検討委員会の笠井治主任の代理として角田雄彦委員が報告し、例年通りアンケートを実施する(回答期限:7/31)ので、ご協力をお願いしたい旨が述べられました。なお、事務局の移転(後記8参照)に伴い、送付先である事務局のメールアドレスが変更されていることにご注意をお願い申し上げます。

 

4. 司法研修所における教員研修の実施について

教員研修等検討委員会の片山直也主任から、昨年度と同様、8/25(民事)・9/5(刑事)に司法研修所の集合修習見学と意見交換会を実施する予定であることが報告されました。

 

5.継続教育のあり方について

カリキュラム等検討委員会の笠井正俊主任から、山本隆司事務局次長を中心として行っている日弁連との協議の状況についての報告がありました。

法科大学院における弁護士の継続教育に関し、日弁連が次の3つの取組みを進めており、法科大学院協会が協力しています。

(1)各法科大学院の授業で弁護士が受講可能なものを、本年1月から、日弁連のウェブサイトの会員専用ページに掲載しています。日弁連が各法科大学院に対して行っているアンケート調査に基づくものです。

(2)パイロット企画その1として、法科大学院が開講している複数の授業に弁護士一般を受け入れることとして、日弁連が制度設計に協力するとともに、受講する弁護士を推薦し、成果を分析する取組みを行っています。具体的には、本年4月から、慶應義塾大学法科大学院で、労働法、倒産法、経済法、租税法の各分野について、日弁連の推薦を受けた60期前後の弁護士数名ずつが、当該分野の授業・演習を受講しています。本年度は試行段階ですが、この制度が正式に発足した後は、法分野ごとに「修了認定」が与えられることを予定しています。冬学期には、こうした取組みをする法科大学院が増える見通しです。

(3)パイロット企画その2として、弁護士の活動分野(企業内弁護士、国・自治体,海外分野等)に合わせて、法科大学院が複数の科目を組み合わせたコースを設定し、(2)と同様に日弁連が関与する取組みも、現在、準備が進められています。

法科大学院協会としては、引き続き日弁連と連携して情報を共有し、会員校に有益な情報を提供していく予定です。

 

6.修了生職域委員会からの報告

修了生職域委員会の浜辺陽一郎主任から報告がありました。現在同委員会では、行政法務・企業法務に共通する職域拡大のために次の活動を行っています。

(1)行政・企業向けの法科大学院パンフレットの作成・頒布計画。企業向けパンフレットは既に作成しました。会員校にファイルで配信すること等を予定しています。

 (2)日弁連との協議を行っています。

 (3)国際的な職域拡大に向けたイベントへの関与。具体的には、「国際分野のスペシャリストを目指す法律家のためのセミナー」に協力しています。

 これらに加えて、行政(地方自治体を含む)法務の職域拡大のために、「法科大学院生のための中央省庁合同業務説明会」(年1回。修了生職域委員会と人事院の共催)などの活動を行っています。また、修了生職域委員会として「エクスターンシップ支援・促進プログラム」を提案し、経営法友会と引き続き協議を行っています。

 総会では、平成25年度第2回法科大学院修了生就職動向調査の結果も配布されました。この結果は今後加筆の上、対外的に公表していく予定です。

 

7.広報委員会からの報告

広報委員会の秋山靖浩主任の代理として、山田八千子委員から報告がありました。同委員会は、2013年4月から7月にかけて、特色ある活躍をされている修了生を対象とする調査を行いましたが、その結果の一部が、法科大学院協会ウェブサイト上で、5月1日付で公表されました。今後、調査結果の残りの部分もまとめた上で、調査結果全体についての分析を公表する予定です。

 

8.事務局の移転について

 鎌田薫理事長より、6月1日から法科大学院協会の事務局を移転することになったことと、その経緯が報告されました。

新事務局は以下の通りです。以後の連絡は、こちらにお願いします(メールアドレスも変更されています)。

 

〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町3-9-10

      公益社団法人 商事法務研究会 内

      法科大学院協会事務局(担当:勝山)

電話 : 03-5614-5654

e-mail jals ** ab.inbox.ne.jp  (**はアットマーク)

 

9.平成26年度予算(案)について

財務担当の後藤昭専務理事より平成26年度予算案の説明があり、承認されました。

 

10. 理事選考委員会の報告と新理事の選出について

(1)新理事について

規約13条2項に基づき前回総会において設置された理事選考委員会が2013年11月2日に開催されました。その結果について、成瀬幸典委員長から、下記の15名が理事候補者として選考された旨の報告がありました。

規約13条1項に基づきこれら候補者を理事として選任することが総会に諮られ、承認されました。

新理事として選任された方々は以下の通りです。

 

<北海道東北地区>

 北海道大学   小名木明宏教授(法科大学院長)

<関東地区>

 東京大学     白石忠志教授(法曹養成専攻長)

 一橋大学     阪口正二郎教授(法務専攻長)

 中央大学     藤原静雄教授(法務研究科長)

 立教大学     野澤正充教授(法務研究科委員長)

 千葉大学     金原恭子教授(専門法務研究科長)

 早稲田大学   鎌田薫教授(総長)

 慶應義塾大学 片山直也教授(法務研究科委員長)

<中部北陸地区>

 名古屋大学   小林量教授(実務法曹養成専攻長)

<近畿地区>

 京都大学     洲崎博史教授(法曹養成専攻長)

 大阪市立大学 高橋英治教授(法曹養成専攻長)

 立命館大学   松宮孝明教授(法務研究科長)

 関西大学     木下智史教授(法務研究科長)

<中国四国地区>

 岡山大学     上田信太郎教授(法務研究科長)

<九州地区>

 九州大学     田淵浩二教授(法科大学院長)

 

(2)新理事長の選出等について

以上の新理事の選出を受け、規約14条により、理事長を理事の互選により選出するため、総会を一時中断し、別室において、理事長選出等のための理事会が開催されました。

この理事会において、前理事長の鎌田薫理事が、再び理事長に選出されました。そして、規約15条に基づき、鎌田新理事長から以下の方々が副理事長等に指名され、理事会で選任が承認されました。

 

副理事長:村中孝史教授(京都大学)、後藤昭教授(青山学院大学)

専務理事:大貫裕之教授(中央大学)

常務理事:片山直哉教授(慶應義塾大学)、笠井正俊教授(京都大学)、磯村保教授(早稲田大学)

事務局長:松下淳一教授(東京大学)

 

 また、以下の方々が事務局次長等に指名されました。

 事務局次長:古谷修一教授(早稲田大学)、山田八千子教授(中央大学)

常務委員:中山幸二教授(明治大学)、角松生史教授(神戸大学)、堀江慎司教授(京都大学)、高橋真弓准教授(一橋大学)

 

11. 監事の選任について

規約16条により、以下の方々が新監事に選任されました。

成瀬幸典教授(東北大学) 

占部裕典教授(同志社大学)

 

12.法曹養成制度をめぐる動向について

文部科学省高等教育局専門教育課の牛尾則文課長から、法曹養成制度をめぐる動向についての説明がありました。まず、中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会における議論状況が資料に基づき紹介されました。ついで、法科大学院公的支援見直し加算プログラムについての紹介がありました。

 続いて、法曹養成問題対策本部の土井真一主任から、司法試験法の改正について、また、自由民主党政務調査会・司法制度調査会・法曹養成制度小委員会合同会議による「法曹人口・司法試験合格者数に関する緊急提言」、公明党法曹養成に関するプロジェクトチームによる「法曹養成に関する緊急提案」の内容についての紹介がありました。最大の問題は法曹志願者の減少であり、それに歯止めをかけるために法科大学院協会としても積極的に取り組んでいくべきことが述べられました。

 その後質疑が行われ、法科大学院公的支援見直し加算プログラムに関する質問や修了生の進路動向・調査方法に関する議論などがありました。

 

13.その他

(1)法科大学院協会の活動と今後の予定等

 中山幸二事務局長より、前回総会以降の法科大学院協会の活動や今後の予定等について説明がありました。

 ①司法試験合格者氏名掲載の官報は平成26年10月1日発行予定ですが、発行日の4営業日以前(平成26年9月25日頃)までに全国の官報販売所に事前予約すれば、官報を確実に入手できます。今年度も合格者等への案内などにご活用下さい。

 ②日弁連との意見交換会、司法研修所と法科大学院協会との意見交換会を従前同様定例的に行っていることが紹介されました。

③国際分野で活躍するための法律家キャリアセミナー(主催:日弁連、共催:外務省・法務省、後援:法科大学院協会・国際法学会、2014年8月29日・30日)、JUAAロースクール・ワークショップ「法科大学院教育と企業法務」(主催:大学基準協会、2014年7月11日)、第68期司法修習生等東京三弁護士会就職合同説明会(主催:東京弁護士会・第1東京弁護士会・第2東京弁護士会、2014年10月13日)、シンポジウム「法曹と法学教育の未来」(主催:京都産業大学・立命館大学・龍谷大学、2014年6月28日)などのイベントの案内がありました。

④日本弁護士連合会作成のパンフレット『弁護士になろう!!8人のチャレンジ』が配布され、大迫唯志・同会副会長から、法曹志願者を増やしていきたいという観点から、日弁連でも地方を含めた法科大学院が公益的活動、立法活動などに携わっていることをPRしているなどの説明がありました。

 

(2)次回総会について

 後藤昭専務理事より、次回総会は11月1日(土)を第1候補として検討している旨の報告がありました。

 

なお、総会終了後、新理事による理事会が開催されました。この理事会では、専門委員会の今後のあり方について、次回の理事会・総会についてなどの議論が行われました。

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