News Letter No.24(2009年12月12日理事会、総会及びシンポジウム報告)
法科大学院協会事務局
法科大学院協会理事会が、2009年12月12日(土)午前10時半より、中央大学後楽園キャンパス6号館6310教室で、同総会が、同日午後0時半より、同5号館5534教室で開催されました。また、総会に引き続き、同教室で、シンポジウム「新司法試験と法科大学院教育」が開催されました。開催に当たり、会場の提供、準備にご尽力下さいました大村雅彦理事、大貫裕之事務局長はじめ、中央大学関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
以下、総会で審議・決定された事項を中心に、概要をご報告申し上げます。
総会では、議事に先立ち、文部科学省高等教育局・澤川和宏専門教育課長より挨拶があり、①法科大学院入学者選抜の競争倍率の確保、②修了者の質の保証、③入学定員の削減、④認証評価の見直し、⑤法科大学院特別委員会による各法科大学院における改善状況のフォローアップについて説明がありました。また、フォローアップの早急な取組みの必要性等について説明がありました。引き続き、議事に移り、井上正仁常務理事の司会の下、以下の事項について報告と提案がなされ、いずれも承認されました。
1 準会員校辞退の件
井上常務理事より、準会員校の岩手大学より、準会員を辞退したいとの申出があり、理事会において承認された旨の報告がなされました。なお、これにより、準会員校は8校になります。
2 法曹養成制度のあり方に関する連携協議の件
連携協議委員会の大澤裕主任より、今年度の連携検証の進行状況及び現在までの五者協議の進捗状況について、次のとおり報告と提案があり、承認されました。
- 本年度の検証作業について、68校の協力を得て、2009年新司法試験について調査を実施中である。現在は、協力校から提出された成績データをもとに連携検証事務局で統計処理を行っている。本日の協力校会議で、調査の進行状況について報告した。調査結果の公表については、従前どおり行いたい。
- 五者協議会について、次回(第3回)の開催がいつになるかは現時点で未定である。
3 法科大学院修了者職域問題の件
法科大学院修了者職域問題等検討委員会の浜川主任より、法科大学院修了者の職域問題について、次のとおり報告と提案があり、承認されました。
- 修了生の職域拡大について、企業法務シンポジウムにおいて学生諸君の関心が高く、企業法務への理解がこのようなシンポジウムを通じて進み、企業法務担当者との相互理解も進んできた。企業に対して夏季採用の働きかけをしており、引き続き、啓蒙活動、働きかけ、協議という形で職域の拡大に努めていく。
- 法科大学院修了生の就職動向の調査が必要であり、そのための活動として、統一的なメールアドレスを配付し、情報を提供するとともに、修了生から情報を提供してもらうしくみを作る。個人情報は各法科大学院が把握し、これを除いたものを協会が把握する。経費については、初期費用200万円は協会が負担し、毎年の維持費用120万円は各法科大学院が分担する。全校の参加を義務付けるものではないが、各法科大学院で独自に法科大学院修了生の就職動向の調査をする場合には、協会のフォーマットに沿ってデータのご提供をお願いしたい。
なお、就職動向の調査については、法科大学院協会で集計の対象とするのは全国的なレベルでの集計であり、個別大学のデータを表に出すかどうかは、個々の大学の判断によるものであることが説明されました。
4 適性試験実施主体の件
担当の永田眞三郎専務理事より、平成23年以降の適性試験の実施については、法科大学院協会、日弁連法務研究財団、社団法人商事法務研究会の三者が新しい組織「適性試験管理委員会(仮称)」を設立することに合意し、各代表者が文書「適性試験の実施に関する確認事項」に署名した旨、報告がありました。「適性試験の実施に関する確認事項」においては、①三者によって設立され、12名の委員(法科大学院関係5名、法曹2名、学識経験者2名、日弁連法務研究財団・商事法務研究会関係者3名)で構成される設立準備委員会(仮称)が基本的な方針を決める。②試験問題は出題委員会が決定する、③各法科大学院は、適性試験の分析調査に協力する、④安定的・継続的に適性試験を実施していくこと等が内容とされています。
また、適性試験の出題委員について各校に依頼することになるが、会員校においては協力いただきたい旨の要請がありました。
5 共通的到達目標の検討の件
カリキュラム検討委員会の山本和彦主任より、コアカリキュラム策定に向けた検討状況等について、次のとおり報告がありました。
委員会では、コアカリキュラムの各科目に応じたメンバーの増強を行ったうえで、2009年12月中に、第1次案の検討を行い(12月20日頃にパブコメを予定)、2010年3月に、協会シンポジウムを法科大学院特別委員会ワーキンググループ研究班と合同で開催する。委員会としては、パブコメと並行した形になるが、会員校にアンケートを配付して、意見をお願いしたい。
6 その他
(1)前回総会以後の動き
井上常務理事より、2009年6月の前回総会以後の動きについて、次のとおり報告がありました。
- 日弁連執行部と協会執行部のインフォーマルな意見交換を、2009年7月、9月、12月に行った。次回は、2月に行う予定である。
- 司法研修所と協会執行部のインフォーマルな意見交換を、6月、10月に行った。次回は、2月に行う予定である。
- 予備試験の実施方針について(法務省)及び総務省が行う法曹養成制度に関する行政調査について(総務省)のパブリックコメントが実施されたため、執行部で協議のうえ、事務局長の名義で意見を述べた。結果報告が法務省及び総務省のホームページに掲載されている。
- 青山理事長、井上常務理事、後藤常務理事及び大貫事務局長が、2009年11月18日、加藤法務副大臣及び中村法務大臣政務官を訪問して、法科大学院を巡る状況と当協会の立場を説明した。12月1日には、青山理事長、後藤常務理事及び大貫事務局長が、千葉法務大臣を訪問して、同様の説明を行った。
(2)教員研修等の件
教員研修等検討委員会の田口主任が所用により欠席のため、井上常務理事より、次のとおり報告がありました。
平成21年度教員研修会の民事系教員研修を8月20日、刑事系教員研修を9月8日に、司法研修所において実施し、その際に行われた参加者と司法研修所教官との意見交換会の模様についての報告をホームページにアップした。
(3)臨床系科目における検察官開示記録閲覧にかかる実情調査について
臨床系教育等検討委員会の潮見佳男主任より、次のとおり報告がありました。
臨床系科目における検察官開示記録閲覧にかかる実情調査を実施した。結果は集計・整理ができしだい、各加盟校あて報告する。
(4)日弁連の司法修習開始前の事前研修について(報告)
井上常務理事より、日弁連が実施し、法科大学院協会が協力した司法修習開始前の事前研修について、次のとおり報告がありました。
2009年11月19日、29日に、日弁連主催の新63期の事前研修が、全国49カ所の会場に、東京での講義を配信して行われた(事前参加申込者は1516名、当日の参加者は7割程度)。
参加申込者には1週間に限って、19日、20日の講義をe-ラーニングシステムで視聴できるようにしたところ、12コマについて合計7032件のアクセスがあり、当日の欠席者のみならず復習のために見直している者も少なくないことがうかがわれ、概ね成功したと思われる。
事前研修2日目終了後、日弁連と法科大学院教員との意見交換が行われた。協会関係者としては、後藤常務理事、大貫事務局長、中山前事務局次長が出席した。
(5)修習生の就職状況等について日弁連からの報告
日弁連の法的サービス企画推進センター副本部長兼採用・就業問題対策会議座長・飯田隆弁護士より、修習生の就職状況等について、次のとおり報告がありました。
新62期は、最新の状況では、弁護士登録予定者数が2009年11月時点の1714名から50名増えて、未登録者については、新61期とはほぼ変わらないか微増という程度であり、若干の悪化ということにとどまった。
新63期については求人アンケートを出しているが、あまり良い状況ではない。来年は、5月中旬に法科大学院における就職支援活動に関する意見交換会(2009年は8月に実施)を実施することを予定している。
(6)ホームページの充実について
秋山常務委員から、ホームページの充実について、次のとおり報告がありました。
ホームページ作成にかかる業務委託契約を正式に締結し、年内中の完成に向けて、作業が進行中である。トップページには、会員校の校舎等の画像を使いたいと考えており、また、法科大学院の魅力をアピールするためにホームページで紹介する適当な学生・修了生を紹介してもらうという点でも、会員校の協力をお願いしたい。
(7)理事、主任人事等について
理事の交代について、京都大学の山本克己教授から同大学の潮見佳男教授に交代することが承認されました。
司法試験等検討委員会主任について、中森喜彦主任から首都大学東京法科大学院の笠井治教授に交替することが理事会で承認されたことが報告されました。
(8)次回及び次次回の総会について
井上常務理事より、次回の理事会・総会は、2010年3月13日(土)に、関西学院大学で開催し、総会終了後シンポジウム(テーマはコアカリキュラム)を開催する予定であること、次々回の理事会・総会は、2010年6月12日(土)に、学習院大学で開催し、総会終了後にシンポジウム(テーマ未定)を開催する予定であることがアナウンスされました。
シンポジウム「新司法試験と法科大学院教育」 総会に引き続き開催されたシンポジウムでは、現在の新司法試験の内容、実施方法、合格者決定の方法・基準などが、法科大学院を中核とする新しい法曹養成制度の全体構想と適合しているかどうかという観点から、基調報告がなされた後、意見交換がなされました。 |